【いつでも私に気がついて】


なんだかんだ言いながらも、ちゃんと卒なくこなしちゃうんだよね。

郁は、目の前に見える、いつか越えたい頼もしい背中を見つめ溜息をつく。
今日も堂上は玄田の思いつきな采配に振り回され、噛みつきながらも、何事も無かったように
仕事を片付けていた。

 どうしてそんなに何でも簡単に出来ちゃうの?

追いつきたくても追いつけないその大きな背中に あかんべー をしてみる。
ふと堂上の足元にに目をやると、石ころが見える。

 よし!そこの石につまづいちゃえ――

流石にそれでは転ぶわけはなく。
そして、ついでに郁の目の前にある小さな石ころを エイッ! とばかり蹴ってみる。

 あの背中に当たれー (とどけー)

それは、こっちに気づいてと言わんばかりで。
でもとっても小さな石ころは堂上に届くことも無く・・・

 よーし!今度はどうだ! (とどけーー)

さっきよりも一回り大きめの小さな石ころは、やっぱり手前で止まって――

 えっ?

ちょっと丸みを帯びたその石ころは、そのまま堂上の足元へと転がって行く。
コロコロコロ・・・・・
しかし前方を見て采配を振るっている堂上は、足もとの小さな変化には気がつかない。

 あーん!じゃあ、これでどうだ! (気がついてー)

思いっきり蹴った小石は、今までと違った軌道を描き、堂上の頭上へと落ちて行く・・・

 ゴツッ!

そして―― 振り返った堂上と目が合った。
ゲッ!気がついた事は気がついたけど、意味違うってば!それって!!

「笠原!お前か!遊んでる場合か!」
アホウ!の声と一緒に拳骨が落ちた。
        ・
        ・
実は郁が気づかないでいたけれど、堂上の顔がほころんでいた。
 ―― 分かってるさ。さっきから石ころがいやに飛んで来てたからな。
     待ってろ。仕事が終わったらいっぱい構ってやるさ。

                                         fin.




一応、恋人設定で。
忙しそうに仕事をこなしている堂上教官に振り向いてもらいたいなー
とか、ちょっと拗ねてた郁ちゃんだったり (^^ゞ
で、教官はすべてお見通しだったりするんだよねー。

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