「・・・人がみてても勝手に窮地に陥ろうとするお前が言うな!」
堂上は怒鳴ってからはっとしたように息を止めた。

俺は何言ってんだ・・これじゃ俺が郁を・・自分で言っているようなもんじゃないか・・

堂上は「うるさい!お前は口出しするな!」
と一方的な宣言で 集会室を出て行った。

郁と手塚以外は 玄田の言うように
「・・まあ、面白い見せ物だったがな・・」と思っている。
柴崎にいたっては
「あんたってたまに天才よね、大の男をあそこまで追い詰めるとはただごとじゃないわ」
と 呆れている。
郁は合点が行かず、唇を尖らせる。追い詰めたって何よ。一方的な言い逃げじゃないの!

他人の恋路だと 熱血バカまっしぐらなのに どうしてまあ 自分の事となるとこうも鈍いんだろうね・・
柴崎は 未だ怒りの収まらない友人を見て思う。
まあ そこが笠原なんだけどね。と ヘンに納得したりして。



集会室を出た堂上は 荒い足取りのまま寮の自室に戻る。
おもむろに缶ビールの栓を抜き 一気にあおる。

何やってるんだ俺は・・・
そもそも俺は窮地になんか陥らない 窮地に陥るのは笠原じゃないか・・しかも見ている目の前で・・
そんなお前が心配で仕方ないのに お前と来たら・・ 俺に何を言わせる気だ・・

少し冷静になって 頭に血ののぼった自分を反省する。

郁に 自分の気持ちを気付かれてはいけないんだ・・俺はもうあの時の俺じゃない。
6年も前の 無鉄砲で後先考えない そんな自分は切り捨てたんだ。
あの時の王子様が俺だと知ったら あいつは絶対ショックを受けるに違いない。
あいつの理想と 今の俺とは 全く違っているんだから。

だから俺は上官として あいつを守らなきゃならないんだ・・俺は気持ちに蓋をする。決めた事だ。

余計な事は 考えない。
これからも 考えないように努める。それが一番いい。

堂上は 残ったビールを一気に飲み干した。


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こんな事思ったかどうだか・・汗
でも そんな男気のある堂上教官 カッコイイです。
まあ結局 気持ちに蓋はできないんですけどね。

堂上の苦悩

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