朝の目覚めで 今日一日の始まりを占う。
少しカーテンから 朝の日差しが漏れてきているが 今日は晴か!?
小鳥のさえずりも なんだか心地いい。

独身寮の一室。
堂上はベッドから抜け出して カーテンを開けると 外は眩しいほどの晴天だ。
気持ちの良い目覚めに きっといい日になるだろうと思う。

季節はもう夏がそこまできている。


郁と付き合い始めて もう一年になるんだな・・と。
付き合い始めて と言っても それまでがかなり濃い日々だったから もう何年も一緒に居ると言っ
ても過言では無い。
実際 一緒に過ごした日々は かれこれ五年になる。

その間のどれくらいの時間が 郁へのモノだったのかと そう問われたら 全部と答えるしかあるま
い。
間違いなく 初めから郁の存在が気になって仕方なかった。
それは 郁がまったく俺を覚えていなかった事も充分すぎる理由だった。
どこの誰だと言うほど美化されていたのに 全く俺だと分かっていないのが 俺の中で何かが砕け
た。

会えて嬉しいのに 俺を覚えていない郁にどうにでもなれという諦めと それならいっそこの場に居
てくれるな!そんな思いと。
その当時の図書隊は それこそ警察や軍隊より危険な職業と言えるほどだった。
俺がバカな真似をしたばっかりに ここに足を踏み入れさせてしまった酬い。
俺のことが分からないなら 容赦なく追い返してしまおう・・

チビで性格の悪い鬼教官・・ なんと言われてもいいと思った。
それなのに そう思う気持ちと相まって 愛おしいと思う気持ちが捨てきれなかった。

追って来てくれた嬉しさ。
どんなに怒鳴っても突き放しても それでも真っ直ぐな目で俺を見て どこまでもついてこようとす
る。

手放せない 

そう思っても それは仕方ないだろ!
それだけ 郁は 俺の全てを占領していた。
俺の性格上 小牧のように優しい言葉の一つもかけれない 笑顔の一つも見せれない つい怒鳴
って誤魔化してしまう。
思いの逆の行動をとってしまい 落ち込む事もしょっちゅうだった。
また 泣かせてしまった・・ そんな日も幾度もあった。

俺はきっと 俺であって俺でないあの日の自分に 郁が王子様と美化している自分に嫉妬していた
のだ。
あの日の自分を見ている郁に 腹が立っていたのだ。
あの日の俺で無く 今の俺を 上官としての俺を見て欲しい そう思ってあがいていたのだ。

誰よりも郁の事を見てきたつもりだ。
いついかなる時も。

俺の中で 今や郁の存在は無くてはならないものになっている。

付き合いだしてから それまで誰も知らない部分の郁も俺の知るところとなった。
今まで 誰にも触れさせずに居た 郁自身を俺だけが知っている。
俺だけの郁。
もう 誰にも渡せない。
誰にも触れさせない。

そして更に愛おしい。

今までだって 何度も恋愛くらいしてきた。
女の身体も知っている。
でも 郁は違う。
今までの 概念を打ち砕くくらい 俺にとって新鮮だった。
全てが愛おしくて 可愛くて仕方が無い。
俺は 女に関して こんなに腑抜けだったかと思うくらいだ。

いや 女に関してでは無い。
笠原郁 だけにだ。

相変わらず迂闊で目を離せない部下であり 愛しい恋人である 郁に関してだけ・・

そんな事を思うだけで 男としての部分が疼く。
今すぐ会って 思いっきり抱きしめたい。
そして あの柔らかい唇に触れて・・ そして・・

・・全く 俺は こんな気持ちのいい朝に 何を考えてるんだか。
誰も居ないのに 誰かに見られているかのように 首をすくめる。

いいさ。
もう直ぐ こんな朝も終わりだ。

郁と向かえる朝は どんなだろうな・・と思いに更ける。
俺はきっと 毎晩のように 郁を求めるに違いない。
そんな想いが頭を過ぎり おいおい 俺はいったい 幾つだ・・と頭をかく。

しかし・・
毎晩 別々の場所に帰らなくてもいいんだ。
外泊届けを気にすることも無い。
いつでも 触れれる場所に 近くに 居てくれる。

今日のように すがすがしい朝も二人で一緒に。

郁は もうすぐ俺の妻になる・・ 

                                            fin.

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想い