招待状
また招待状が届く。
これで何枚目かな と郁はその幸せの詰った封筒を眺める。
学生時代の仲の好かった仲間は何人もお嫁さんになっていて 子供が小学生だという人も居る。
まるで別世界の話のようだ。
こんな職種のせいか 招待された全員の式に参列できているわけでは無い。
選ぶつもりでも無いが そんなこんなで 行くのは勘弁かな と思う時は仕事を理由にもしていた。
そして また1通。
ああ 数ヶ月前に電話してきた恵美からだ。
どっちが先だろうねって あの時 話してたんだっけ。
結局私がおいてけぼりだね。
封を切って中の招待状を見ながら いつの間にか郁の記憶は別世界に・・
想いは結婚式の話になる。
招待状に書かれた
新郎 堂上篤
新婦 笠原郁
出来上がってきたその招待状を見ながら もう直ぐだね と顔を見合わせる。
幸せになろうな 堂上がそう言って 郁を抱きしめてキスをする。
こんなに幸せでいいのだろうか・・
見つめる堂上の顔が 目が とても優しい。
この人で良かった。
この人とずーっと一緒にいたい。
なんて 幸せなひと時だろう。
出来上がったばかりの印刷の匂いがしそうな その招待状。
幸せを運ぶ手紙。
友達は 殆ど結婚してしまって 仲間内ではあと残っているのは ひとり・・ふたり・・
数えるくらいかな。
その仲間にも 次に幸せになってもらいたい。
そんな 想いも込めて。
この招待状を送ります。
みんな 幸せになる資格・・権利・・ 持っているんだもん。
ひとりで居るのも幸せって それもありかもだけど。
でも 大好きな人と過ごせる幸せを知って欲しいから。
毎日がドキドキで 二人でいれることが最高に幸せだって 思ってもらいたいから。
私の幸せを みんなに分けてあげる・・
って ちょっと言い過ぎかもだけど。
だって それくらい 幸せなんだモン・・・
幸せの最中。
ハッとして目を覚ます。
あ・・ 招待状を手に持ちながら 寝てしまったのね・・
でもそんな夢を どうしてだろう・・ 見てしまった。
誰も周りに居るわけじゃないのに 見てしまった夢の事で ひとり焦ってしまう。
願望かな・・
それとも 恵美から 幸せのお裾分けもらったのかな。
私もいつか 教官と・・
そう思ったら 顔がカアーっと熱くなった。
凄い願望だよね。
これって 相手あっての事だから。
ひとりで思っていても ありえない事だから・・
付き合い始めて1年・・
大好きだけど そんな話は出たことが無い。
結婚だなんて いつになるんだろうな って思う。
そもそも教官は 私をお嫁さんにもらってくれるのだろうか・・
恵美からの招待状を 教官にも見せちゃおうかな。
いつか 俺達もって思ってくれるかな。
そして次の公休デートの時にその招待状を持参する。
また友達がお嫁さんになっちゃうんだ・・って それを教官に見せる。
そっか おめでとうって祝ってあげるんだぞ っていつもの優しい顔だ。
そして抱きしめられた。
心なしか 何だかいつもより 力強く抱きしめられた気がする。
きっと 教官も・・
私の思いは 間違ってないよね。
いつかきっと 教官のお嫁さんになる・・ そう想っていていいよね。