「これをどうするんだ?」
そう言って 堂上が小牧に何やら聞いている。
小牧も困ったように
「あのさー 俺そういうのちょっと苦手。同じ機種なら教えてあげれるけど」
と言う。 そういうことには詳しそうかと思ったが そうでもなさそうだ。
「どうしたんですか。堂上教官」
二人のやり取りを見ていて 怪訝に思い郁が問いかける。
「ああ。実はコレなんだがな」
堂上がそう言って郁に見せたのは 買い換えたばかりの携帯電話だった。
携帯電話の進化と言うものは 目を見張るものがある。
機能を使いこなしている者など きっといないんじゃないかと思うくらい これでもかと いろんな事が
出来るようだ。
メーカーも競って 新たな携帯電話を発表し 今流行りのアイドルや俳優達がこぞってCMに駆り出さ
れている。
CM自体もかなりユニークで ストーリー性のあるものだったり 動物を起用したりと様々。
電話が出来ればいい だけだったのが メールが便利だったり GPS機能がついて何処にいるかで
子供の居場所が分かって安心したりと 分からないながらも 新しい物に飛びつく人も多い。
図書隊の中でも新機種が発売されると買い換える者もいるが 図書特殊部隊ではさほど色んな機能は
要求される事態は無いので こと堂上班では携帯の認識はそう高いものでは無い。
それが つい最近堂上が新しい携帯に変えたらしい。
「充電が直ぐ切れるし かなり長い事使ったからな」
という理由だが そもそも新しい携帯に変えると使い勝手が変わり 慣れるまで使いずらいという思い
から ズルズルと壊れるまで変えれずにいたようだ。
ここを押して こうして・・ 郁が説明すると その度に
ほおー と 堂上と小牧が二人揃って感心したような顔をする。
「じゃあ これはどうするんだ?」
何度目かの質問で カメラ機能について聞かれる。
「簡単ですよ。ここを押して・・・」
そう説明しながら 携帯の画面を見ながら 後はここ押せば撮れます と言うと 堂上はちょっと考えた
ふうで その後 郁をジッと見ると
「そうか。ちょっと撮ってみるから 笠原 いい顔してみろ」
と言う。
「えっ!私ですか」
「あ、なんだったら 俺が二人を撮ってやろうか?」
小牧が口を挿む。
こいつ 余計な事を・・と ジロリと睨むと堂上は
「それじゃ 俺がやり方を覚えられないからダメだ。俺が撮る」
そういう態度が何となく 頑なだ。
小牧は 何か分かったように そっかぁ と言うとクックッと笑っている。
そんな小牧はほっといて 携帯を見るとさっきのカメラ画面が消えて 元に戻っている。
「おい!画面が戻っているぞ」
と郁に携帯を見せる。
「ああ。時間経つと戻っちゃうんですよ。また初めからやればいいですから」
「なるほど 省エネ設計と言うヤツか」
で どうだったか・・ と言いながら携帯のキーを押しているので 郁も一緒に覗き込んで見ている。
コレで こうやって こうだな・・
はい。後は 被写体に向って携帯を向けて 真ん中のそのボタン押せばいいですから・・
「よし!じゃあ 笠原!」
「あ、はい・・」
パシャ!!
画面に はにかんだ笑顔の郁が映し出されている。
きゃあ。なんか恥ずかしい・・
暫らく二人でその画像を眺めてしまっていると 堂上がどうしたもんかと聞いてくる。
「これでどうするんだ」
「後は ここを押して保存したかったら保存すればいいんです」
それに対して 堂上は何も言わずにいたが どうやら保存したようだった。
そしてもう一度聞いてくる。
「今撮ったのは どうやって見るんだ?」
データフォルダの写真を・・と説明し 言われたとおりに堂上がフォルダを開くとそこには今撮ったばかり
の郁の画像が出てきた。
「しかし 携帯のくせに意外とよく撮れるもんだな」
堂上は その画像を眺めて感心しきりだ。
そして 郁の頭にポンと手を乗せて クシャっと撫でる。
「ありがとな」
その後 堂上が今撮ったばかりの郁の写真を眺めては
可愛い を連発していたことは 誰も知らない。
特別な一枚