どこもそうだと思うが 独身寮の しかも男子寮といったら 活きのいい若い衆が揃って そりゃ大変な
もんだろうと想像がつくだろう。
他所はどうだかは定かでは無いが 図書隊は 意気盛んなヤツの集まりだ。
業務部で多少オトナシ目の者もいるが 防衛方ときたら 威勢がいいなんてもんじゃない。
まあ その筆頭は図書特殊部隊とも言えるが・・
何の話かって?
そりゃ 決まってるだろう。
仕事を離れれば みんな一人の男だ。
男だけの空間に 愚痴も出れば欲求も溜まる。
逆に女がその場に居ないと言う安心感からか 堂々と大っぴらに下世話な会話も出来る。
言ったところで 女性に聞かれて後ろ指も刺されない。
発言に「ピーッ」と検閲が入るワケじゃない。
気楽と言えば 気楽な男子寮だ。
日頃お高く留まっている女性を酒の肴にするもよし。
女子寮にいる 可愛い子の話題で盛り上がるもよし。
人の恋愛沙汰を面白おかしく からかうもよし。
しかし 何を言っても空想の世界。
想いが遂げられるというモンでもない。
人の恋路をからかってみても どうなるものでもない。
彼女が居るものはまだ救われるが そうでない者は じゃあどうする!?
と言う訳で 今宵もどこの部屋からとも無く 部屋から部屋へとその手のビデオが飛び交う事に。
特殊部隊の先輩が堂上の部屋を訪れて ニヤニヤとしているから 何だ!? とは思ったが 包みを
渡され渋々と受け取った。
もしかして またか! という思いもあり すぐさま包みを開けて絶句する。
何処で手に入れたのか よくもまあ 見つけてくるもんだと感心しきりだ。
中に紙切れを見つけて読んでみると
「後で 感想を聞くのでよろしく!」
と ひとこと。
おいおい・・ なんだよ これは。
仮にも男であって 興味だってある。
騒いでいる奴等と一緒になって騒げればいいかと 思うが どうもこの性格が邪魔をする。
昔の向こう見ずの頃だったら どうだったか・・
人はどう思っているか知らないが 結構なやんちゃをしてきたから知識だけは豊富だと自負している。
若い頃は それなりに付き合ってきた彼女だって居たのだから。
若い頃に無茶し過ぎたのかのかもしれない。
図書隊に入ってすぐに あの少女と出会った。
地方の出張でたまたまその本屋で遭遇した良化隊の検閲。
あの時の あの査問会議から 俺は変わった。
今までの自分を反省し 生まれ変わった。 そう思っている。
不思議なもので 男女間のその手の話も もうどうでもよくなった。
実際 その時付き合っていた女とも別れた。
それ以来 誰とも付き合ってはいない。
仲間には不思議がられるが 女の気配も無い。
その手のビデオを見ても
「だからどうした この程度か」
と言ってしまうからか・・・ それだからか。
先輩が 俺に感想を求めてくるのは。
俺が これはいい! とでも言えば そのビデオは優良とでも評価されるのだろうか。
今じゃ 堅物の俺で名が通ってしまっている。
しかし・・
自分で言うのもなんだが・・・
好きな女を自分のモノに出来たら 俺はどうなるか分からない。
今までの俺が顔を出すと思うから。
俺だって 男 だからな。
我慢は 身体に良くない!
そう。
身体によくないから 折角回ってきたのだからと 見させてもらう。
しかし所詮他人事だ。
冷めた目で見てしまうんだろう と自分を分析する。
そのせいだろうか・・
「この程度か」
としか 思えないのかもしれない。
そう言えば・・ と渡された時の先輩の顔を思い出す。
あの ニヤニヤは何だったのか。
まさか 自分の気持ちがばれているのか?
笠原とそうなりたいと思う 俺の思い。
俺だって健全な成人男子だからな とは思うが・・
それでこれでも 「見ろ」 と そう言うことか。
『教官と女性訓練生シリーズ・・・』
・・・・・。
これは完璧になんらかの意図を感じるぞ。
しかし それが周りに分かってしまうのは問題だ・・
とりあえず 今回の感想もこう言っておこうと思う。
「この程度か」
余計な事は墓穴を掘るだけだからな。
fin.
男子寮