久し振りに郁は柴崎と買い物に出掛けた。
部署が違うので なかなか公休が一緒になる事が無いのだ。
郁としては 服の見立てから それこそ下着等 柴崎に頼るところが多かった。
一人でも勿論買い物だって出来るが とにかく心配になる。
似合ってるだろうか どう見えるだろうか・・と。
柴崎は 何を着てても堂上教官なら可愛いと言ってくれるわよ って言うけど。
そんな自信なんて全く有るわけが無くて・・。
今回も あれこれと選んでもらい 両手にいっぱいの買い物になった。
たまたま商店街で「クジ引き」をやっているらしく 金額相当の枚数のくじをもらう。
「あら 特等は温泉旅館宿泊だって」
と柴崎に言われ 賞品が書かれたボードを見てみると 確かに『温泉旅館一泊ペアでご招待』となっ
ている。
「ホントだ!凄いねー!」
折角もらったくじだし 駄目もとで引いてみようと 商店街の一角に設置された引換所に向う。
末等が当たったとしても BOXティッシュ一箱 そう悪くは無いか。
ただ普通に そんな事を考えていた。
「笠原 もし特等当たったら誰と行くつもり?」
柴崎に訊ねられて 何も考えて無かった郁は
「そりゃもちろん・・・」
と言いかけて あっ・・ と息を呑む。誰と行くだなんてそんな事 何も考えて無かった。ただ特等当た
って一泊って凄いなーって。でも えっと・・こういう場合はやっぱり柴崎かな・・
言葉に詰っていると
「もちろん 何よ」
何やら 思惑のありそうな笑みを浮かべて柴崎が覗き込んでくる。
「も、もちろん 柴崎と行くに決まってるから」
「あら 私が一緒に行ってもいいのかしら」
「・・いい」
柴崎に誰と行くつもりって聞かれるまで ホントに何も考えてなかった。
でも 聞かれたら 教官と行きたいって思ったけど そんな事言えないじゃない。
だって公休合わせてくれて 買い物を付き合ってくれたのは柴崎なんだもの。うう・・
「ばかね 私に遠慮なんて要らないんだから。その代わり外ランチ3回分くらいはお願いね」
そう言って 決まりね と 背中をパンと叩かれる。
ハッ!!
ちょっと待って。そういう問題じゃないよ。
「でもさ!大事な事忘れてない?まだ当たったわけじゃないから。ランチの催促却下!!」
特等なんて そう簡単に出るものじゃないし。
まして 当たるだなんて思っても無いから。
「あら 残念」
もうちょっとでランチゲット出来たのにー と笑う柴崎に 恐ろしや柴崎と肩をすぼめる。
「何だか くじを引くまでの間に結構楽しめたわね」
柴崎がそう言う。おいおい。私で遊ぶなー!!
「ねえ笠原。くじが外れても 何処か泊まりで遊びにいきたいわね」
図書館詰めだから そんな融通利かない事は承知の上だけど。
「そうだね」
しんみりと そう答える。
ややあって 急に柴崎が
「だったらさー あんた当てなさい!特等!そしたら 隊長に私が掛け合ってあげるから」
「ちょ、ちょっと そりゃ何でも無理でしょ」
「いいのよ。何が何でも当てなさいよね!皆で温泉旅館に行くのよー!」
何を柴崎をそうさせたのか。突然張り切りだすから 訳が分からない。
でも くじ運はどうにも出来ないよ・・ こればっかりは。
半ば呆れて 半ば諦めて くじ引きの会場で 7回分のチケットを係りのお兄さんに渡す。
「笠原 7回全部BOXティッシュだと お持ち帰りが大変だからね。私は持ってあげないわよ」
しーばーさーきー あんたって・・
今日の私の運勢ってどうだったっけ!?
そんな事が頭を過ぎる。
いざ!クジ引き 7番勝負!!
温泉に行こう!!
【1】