【16】
温泉に行こう!!
旅行の件はあっさりとOKが下りた。
玄田には 特に何の問題も無いから ゆっくり骨休めでもしてこい と豪快に言われた。
何の緊迫もしていない時期だとそんなもんかと 返って拍子抜けするくらいだ。
「おう!行くならさっさと行ってこい。土産忘れんなよ」
逆にちゃっちゃと行けと言わんばかりだ。
「はあ・・」
これには 恐る恐る話しに来た堂上も苦笑いになる。
「それでは 来月のシフトをこの設定日に合わさせてもらいますが いいですね」
と言うと
「それじゃつまらんだろう。ただ泊まりに行くだけになっちまうだろ。もう一日公休をやるからゆっくり
して来い」
やけに優しく物分かりがいいので 堂上は怪訝そうに玄田を見た。
玄田は堂上の思っていることが分かるようで フッと息を吐くと
「何か企んでいるとか思っているようだな」
そう言って ガハハハと高笑いをした後 日頃のご褒美だ 他意は無いぞ と続けた。
「失礼しました」
敬礼をして隊長室から退出し 席に戻ると 郁が今か今かと待ちわびていて
「どうでしたか?」
と心配そうに聞いてくる。
堂上が隊長室でのやり取りを伝えると
「本当だね。何か企んでいるとしか思えないような 物言いだね」
小牧も玄田の対応に疑念を抱いているようだ。
「もしかして隊長も 折口さんと一緒にって思ってるんじゃないのかな」
思ったことを直ぐに口にしてしまう郁は 気が付くとそんなことをしゃべっていた。
「誘われるのを待ってたりして・・って事は無いですよね」
堂上班の面々がポカンとした顔になった。
郁は ヘンなこと口走っちゃったな・・ と頭を掻く。
やや間があって
「そうだな!そうかもしれない」
「そうだね!それかもしれないよ」
堂上と小牧が言うのが一緒になった。お互い顔を見合わせて吹き出す。
こんな時にも息が合って仲がおよろしいことで 膨れギミに郁が言うと
お前 突っ込み所はそこじゃないだろう と手塚に返され更にふくれっ面になった。
堂上は出てきたばかりの隊長室にとって返す。
「でも良かったね。二泊だなんて願ったり叶ったりったりだよ」
小牧にそう言われ 思わず大きく はい! と応えると
「笠原さん すっげー素直!そんなところがまた堂上のツボなんだろうね」
と 最大級の上戸と共に言われ ひゃあー と真っ赤になる。
「でも そんな部屋の融通聞くのかなあ?」
クックッと上戸が止まないまま 小牧は独り言のように呟いた。
「それは 大丈夫です。商店会の会長さんに骨を折ってもらいますから。そういう約束ですもの」
声をする方を見ると柴崎がちょうど特殊部隊の事務室に入ってきたところだった。
「柴崎どうしたのよ。仕事中でしょ」
「あら 野暮なこと聞くのね。気になってしょうがないから用事があるって抜けてきたのよ」
しれっと言ってのける柴崎に郁は そりゃどうも とまたまた膨れる。
こいつには出来ないことは無いのね!
にっこりと笑っている小牧に 郁と同様驚いて目を丸くしている手塚がそこにいた。
「じゃあ 部屋のことや交渉は柴崎さんにお願いすればいいんだね」
「ええ」
「多分ね 柴崎さんが考えているよりも もう一部屋お願いすることになりそうなんだよ」
「?それは他にどなたか行かれるってことですか?」
「まだ確定じゃないけどね。堂上が今それを確かめに行ってるとこ」
察しのいい柴崎はそれだけで全部を理解したようで 楽しくなりそうですね と言うとにっこりと微笑
んだ。